伏線を張り巡らせて、あとあと気持ち良くスカッと回収する作品が好きだ。
最初は「ん?」とモヤモヤを抱えながらも、続きが気になるので物語を進めていくと、その先で「あぁ、なるほど!あの発言はそういう意味だったのか!」「あの意味深なカットはここにつながるのか!」と、違和感がパッと晴れる瞬間が爽快で病みつきになる。
もっと俺に伏線をくれ!伏線でグルグル巻きにしてくれ、と思う。
じゃあ、この世で一番、伏線が張り巡らされて、それがどんどん回収されていく作品って何だろうと考えてみたら、すごく身近なところにあった。
今、生きているこの人生だ。
子どものころに大人が急に気まずそうに目配せをし合っていたり、女子だけ体育館に集められたり、当時は「ん?」と思いながらも、意味が分からないので無視していた事柄がたくさんある。
それが、大人になると「ああっ!あの時のあれはそういうことだったのか!」と伏線回収の連続だ。
大人になってからも新たな伏線は張られる。
「無料のバーベキューに誘われたけど、あれは何だったんだろう?」「このジジイはなんでこんなにキレまくってるんだろう?」といったオトナの伏線だ。
そして、それらの伏線は「ねずみ講の勧誘の集まりだったが俺が入会しなさそうだからもう誘われなくなった」「認知症にはそういうタイプの症状もある」と、自分次第でいつでも回収できる。
だから、キミが「セブちゃんは私のことを見てるようで自分のことしか見ていない」と吐き捨てて僕から離れていったのも、今は意味わかんないけど、いつかちゃんとわかる時が来るのかな。